洋電タイムスYoden Times
96号 ー 2017年 新春号 ー
【豆狸の寝言】
「心を合わせるということ」
東京出張からの帰り、難波駅から乗った電車でこんなことがあった。
どこかに座れる場所はないかと、荷物を持って空席を探していたが、あいにく満席だった。
せめて荷物だけでも置こうと思い、網棚に置いた。その下の座席には、六十年配の人たちが座っている。女性四人に男性一人、計五人である。その五人が、私が網棚に荷物を置いた瞬間、いっせいに動いた。
座席を見ると、二人ぐらい座れる空間ができている。ついさっきまで、一人が座る余地もなかったのに。
私は軽く会釈して、その空席に座らせてもらったが、席をあけてくださった五人の方の気づかい以上に、五人がいっせいに同じ行動をとった、ということに感心していた。
目をつぶって会話を聞いていると、その方たちは、何かの趣味のお仲間のようである。
日ごろから意思の疎通が図れているからこそ、以心伝心の動きができたのだろうと納得した。
電車に揺られながら、私は会社の「意思の疎通」に思いをはせた。
会社には、営業、仕入れ、会計、総務、いろんな部署がある。普段から他の部署と接する部署もあれば、ほとんど接しない部署もある。たとえば、会計と営業は前者であり、総務と営業は後者といえるだろう。
しかし、どの部署の社員も、同じ会社で働いている同士である。普段からあまり接しない部署であろうと、何かの折に話ぐらいしたことがあるだろう。そのわずかの機会に、同じ社員の一員として、互いの仕事や人柄に関心を持とうという気持ちがあれば、その積み重ねが互いの理解につながっていき、何かの時には心を一つにしていっせいに動く、というようなことができるようになるかもしれない。
日本の会社では、情報の共有化とか、一元化ということが言われて久しい。「部門間のカベを取り除かなければ、経営の効率化、スピード化は図れない」「各部署の目的は、会社の目的と同じでなくてはならない」ということもよく言われる。
よく言われるということは、あまりできていないということである。「意思の疎通」は、大企業、中堅、小企業に関わらず、共通の課題のようである。
「意思の疎通」に秘訣があるとすれば、電車で出会った趣味のお仲間のように、「気心の知れた間柄になる」ことかもしれない。
(2004年7月執筆 三原幸二)
【平成29年度 展示即売会】
10月 1日 和歌山(新宮営業所)
10月14日~15日 大阪(東、西、南、北、特販、堺、八尾、平野)
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【第49回 奥様研修会】
平成28年9月8日~9日 京都 嵐山 『びわ湖花街道』